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リラックスできた理由

当時のブラッドリー・ガーラック

以前より「サーフィンはリラックス」と言い続けてきた。なぜならリラックスしないと重心が定まらないからだ。そして、重心が定まらないとスピードも加速できず、ターンにも影響する。

そんな自分も若いころはなかなかリラックスできずに悩んでいた。そんな自分にあるきっかけを作ってくれたサーファーがいた。

それは「ブラッドリー・ガーラック」だった。

その時代、ブラッドリー・ガーラックはASP世界サーフィンのプロサーキットにおいて、ワイルドなパワーサーフィンで独特のスタイルを持ち、若者に絶大な人気があった。とはいえ自分が決してファンだったわけでもなく、やはり自分はトム・カレンのようなリラックスしたサーフィンが大好きだった。

彼を最初に見たのは26歳の冬。その頃の自分は毎年ハワイに渡り、大きい波に乗れるよう修行を積んでいた。これがなかなかうまくいかない。サーフィンは大好きなのに、ハワイのサイズのある波となるとわけが違う。そんな時、ハレイワでサーフィンしていると彼が鼻息荒くパドルアウトしていた。「うわあ、ブラッドリーだ」って心の中で思いながら見つめていた・・・、なんて余裕はなく、その時は10フィートぐらいある自分にとっては超恐ろしいコンディションで見たもんだから、一瞬の出来事で、自分はピークに向かうカレントから必死でパドルして避けていた。「あいつらは怖くないのかなあ?」なんて思いながら・・・。

そんなブラッドリーに次に会ったのは、日本。新島にスポンサーされているウェットスーツのプロモーションに来ていたようだ。そのときの新島は波がよくて、オーバーヘッドで無風。たしか春ごろで、気候もよくて、水もきれいで、晴れたすばらしい日だった。そんなコンディションでブラッドリーがサーフィンをするって言うから迷わず岸で見ていた。で、驚いた。

何が驚いたって、ものすごいスピード。そんなスピードを出しているサーファーなんて、どこを見渡しても彼しかいない。

そして、そのスピードを出している彼は全く力(りき)んでいない。超ーリラックス。あんなにパワーサーフィンに見えて、絶対に力はいってるんだろうなあって思ったのが、全然力んでない。

どして?どして力んでないのに・・・。

わけがわからない。何度も何度も見た。わからない、理由なんて。どうして力まずあのスピードが?でも、頭に焼き付けた、彼のサーフィンを。

十分彼のサーフィンを見た後、ウェットに着替えて沖に向かった。もう彼はセッションを終わって海から上がっていた。彼のサーフィンをよーく思い出した。そしてとにかくそのイメージで乗ってみた。いつもの自分ではなく、「自分はブラッドリー・ガーラックだ」って思い込みながらあのイメージで乗ってみた。

「速いっ」。明らかに速い。いつもスピードを出すために、力みがちだったカラダをリラックスさせるだけで、ここまでスピードが違うのは本当に驚いた。何度も何度もやってみた。違う、ほんとうにいつもと違う。試しに別な日にもやってみた。調子がいい。むしろ、調子が悪いと思ったときは、必ずリラックスを心がける。するとすぐ調子よくなる。

カラダをリラックスさせることで体重を目一杯ボードに落とし込める。ほら、起きてる子供や人を抱きかかえるより、寝てるときに抱えるほうが重たいでしょ。多分あの感じだと思う。その体重を乗せたボードで、斜面を滑り落ちる。

ふわふわあっと。

それがスピードなんです。

でもわかりづらいでしょ、まだ。自分も見てもわからなかったからよくわる、その気持ち。だから、まずは上級者でリラックスして乗っているサーファーをじっくり観察するべき。上級者といってもまだまだ力んでる人はたくさんいる。だから見本をしっかり選ばないと。

日本で言うと、田中樹プロ、田中英義プロ、浦山哲也プロ、糟谷修自プロなんかはわかりやすいかもしれない。すごくみんなリラックスして、いい感じです。どちらかというより、アクションをしている部分よりもアップスンダウンしているときを見るべき。

これはビデオではわかりませんよ。やっぱりナマで見ないと。僕も散々以前は見てたけど、ブラッドリーを見るまでわからなかったから。ぜひ本物を見てイメージを手に入れてください。

田村 誠

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